神様と仏様の違いって何?どうして似てるの?神社とお寺の違い
日本では、特定の宗教などを信仰していない限り、神社にもお寺にも抵抗なく訪れ、神様にも仏様にも特に区別することなくお参りする習慣があります。
ですが、神様と仏様の違いをご存知でしょうか?なんとなくわかっていても、似ている部分がある理由など、明確な違いを知っている方は少ないはず。
そこで今回は、神様と仏様の違いや共通点などについて詳しくご紹介します。
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神様と仏様の違いとは?
神様や仏様は、人智を超えたおおいなる存在で、受験や出産、病気など、人生の転機に願ったり、初詣などの季節の節目にお参りしますが、このお願い事は神様に、これは仏様にお願いしようなどと区別することはあまりないでしょう。
ですが、神様と仏様はまったく違う存在なのです。一番の大きな違いは、「人は神にはなれないが、仏にはなれる」ということ。
まずは、この二つの存在がどういうものなのかについて見ていきましょう。
神とは
日本人にとって神様というと、大きく分けて二つの意味があります。
日本の神様
まず1つ目は、日本の神様です。神様を祀る日本古来の信仰を神道(しんとう)といい、あらゆるものが神様だとして信仰する、多神教の宗教で、万物のあらゆるものに神を見出すのが特徴です。
日本人が生活していく中で、自然に生じた民俗信仰であるため、開祖や教義、経典もないため、厳密にいうと宗教とはいえません。
信仰の対象は、八百万(やおよろず)の神ともいわれる、自然の中にある日本古来の神様です。太陽、太陽、山、海、月など、万物に宿ると考えられており、人間も自然の一部と考えるため、死んだ人間や動物が神様になることも。
有名な神様として、日本神話に登場する女性の神、天照大御神(アマテラスオオミカミ)や、ヤマタノオロチを退治した海の神、素戔嗚尊(スサノオノミコト)、縁結びの神様として有名な大国主命(オオクニヌシノミコト)、日本の国を生み神々を生んだイザナギ・イザナミなど、他にもさまざまな神様がいます。
古代日本では、山や川などの自然そのものをご神体として崇めていましたが、時代とともに石や紙、下駄、実在した人物を祀ったものなど、今では非常にバラエティーに富んだものとなっています。
外国の神様
そして2つ目は、キリスト教やイスラム教、ユダヤ教など、一神教の神様です。キリスト教の神は、旧約聖書のヤハウェで、イスラム教のアラーも、ユダヤ教のヤハウェも同じ神とされています。
唯一の神を信じるため、これら3つはすべて一神教といわれており、それぞれの解釈が異なるだけで、実は同じ神を崇める宗教なのです。神とは全知全能で、万物の創造主であり、唯一無二の絶対的な存在とされています。
仏とは
仏といえば仏教の神様ですが、仏教は特殊な宗教で、厳密にいうと神という言葉は使われません。仏というのは仏陀(ブッダ)のことで、目覚めた人(悟りを開いた人)のことを指します。
仏教では、厳しい修行や勉強の末に悟りを開き、苦しみだらけの現世を離れ、苦しみから解放された浄土の世界へ行くというのが目的です。この世で最初に真理を悟ったのが仏陀ですが、悟りを開く前は「ゴータマ・シッダールタ」という名のインドの王子でした。
そもそも信仰の対象はなかったのですが、仏教の祖である仏陀をはじめ、さまざまな経典に登場する、過去に悟りを開いた人物が神格化され、仏や如来、菩薩などとして信仰の対象となったのです。
そのため、仏教を悟りを開くための教えだとして修業する人もいれば、仏像を拝み、お経を唱えて信仰する人もいて、両方とも受けいれられ共存する宗教として世間一般に広まっています。
仏教が日本に伝わった当初、仏様は外国の神様と捉えられており、たくさんいる神々の1人だと思われていました。ところが、仏教が日本に普及し始めると、実は仏様は、神様とは違うということがわかってきたのです。
神仏習合とは
日本において、神様と仏様の違いについて調べると必ず出てくるのが神仏習合です。
神仏習合とは、日本土着の信仰である神道と、外国から伝来した仏教が融合し、一つの信仰として再構成(習合)された宗教現象で、神仏混淆(しんぶつこんこう)ともいいます。
仏教が日本に普及するにつれて政治と密接に絡み合い、日本古来の信仰の形と結びついていきました。1000年以上もかけて構築された概念で、さまざまな考え方が複雑に絡み合っています。
そもそも、神社や神像が作られたのも、仏教の影響によるものです。日本の神様は自然の象徴だったため、神社のようなものはなかったのです。
そして、今でこそ神道の施設は神社、仏教の施設は寺院と区別されていますが、江戸時代までははっきりと区別されておらず、神社の中に寺院があり、寺院も神道の神様を祀っていました。
また、神道で祀られる神様が、仏教の神様や仏様に置き換えられたり、同一視されることも。
代表的なものとして、神道の大国主命(オオクニヌシノミコト)、仏教の大黒天が習合したのが七福神でおなじみの大黒様。同じく七福神で知られている弁財天も、本来は仏教の神様です。
このように、日本土着の神道と、外来の仏教が融合できたのは、仏教が他の宗教の神様や信仰と融合する柔軟性をもっており、日本で信仰されていた神様への信仰と合致したためだといわれています。
これは日本独自の信仰の形であり、互いに大きく影響されているため、日本の神々と、外国から伝来した仏教を切り離して考えることはできないのです。
神社とお寺のどちらとも抵抗なく参拝できたり、神社の中にお寺があったり、神社の本殿に仏像があるなど、今でも明確に区別されることがなく、あいまいな部分があるのは、この長く続いた神仏習合により、複雑で多様な神と仏の関係ができたためだと考えられます。
神仏分離令とは
神道と仏教は互いに影響し合い、政治にも深くつながっていったため、時には神様の方が立場が上であったり、仏様の方が上であったりと、さまざまな制度の変化を繰り返していましたが、長い間続いていた神仏習合の時代は、明治時代に終焉を迎えます。
明治に入り、開国が進むにつれ、政府は西欧列強に早く追いつくための政策の一つとして、国民を精神的に統治していくためにも宗教的な支えが必要であるとし、外国の宗教である仏教の影響を受けていない、日本固有の古代の神道(復古神道といいます)を国教にしようと考えます。
また、これまでにあらゆる面での権力や財産などを獲得してきた、仏教側の力を削ごうとする狙いもありました。
そして1868年、明治政府が出した神仏分離令と呼ばれる一連の法律により、神仏習合の習慣は禁止され、神社とお寺は完全に分かれることになったのです。
特に厳しいものは神仏判然令といい、仏像をご神体としたり、神社に仏具をおくことを禁止しました。
そして、これをきっかけに、権力を持つようになったお寺への不満が募った民衆や神官などが仏教寺院を襲い、仏教にまつわるさまざまなものを破壊する、廃仏毀釈運動(はいぶつきしゃくうんどう)が全国で広まります。
寺院は半数が日本から消えたといわれ、仏像、建造物、経典などのあらゆるものが破壊され、日本の寺社にあった莫大な量の貴重な文化財が、ほんの数年で失われてしまったのです。
これによって神仏分離は進んだものの、明治政府の本来の目的である、神道を国民全体に布教し、神道を中心にした国づくりは失敗に終わっています。
神社とお寺の違い
神道と仏教という教えのまったく違う宗教にもかかわらず、神社と寺院には共通点もたくさんあり、似たような施設や像がどちらにもあったり、まれに神社とお寺の区別がわからないことがあるのは、神仏習合による神仏習合という歴史の流れがあるためだということが分かりました。
ですが、作法や参拝ルールなど、異なる点もたくさんあります。私たちは神社とお寺に訪れる際には、どのように区別して参拝すればいいのでしょうか。
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神社は何をするところ?
神社は、日本固有の宗教である神道の施設です。山の神や海の神など、さまざまな自然物が神となっており、海に浮かぶ厳島神社のように、ありとあらゆる場所に神社は存在します。
もともとは、沖縄の御嶽(うたき)のようなものだと考えられており、常設された建物ではなく、神の住む場所とされる禁足地などで、神事を行うための臨時の祭壇が起源だとされています。
そして、神社への参拝は、穢れを清めるためのお祓いをする場所だと考えられてきました。そのため、これまでの穢れを清め、神様の前で決意表明をすることで現世での幸せを願う意味合いがあります。
お願い事ではなく、自分自身のこれからの目標や意気込みを宣言することで、神様がお力を添えてくれるのです。
お寺は何をするところ?
お寺は、仏様を祀り、仏像をすえ、僧侶が住み、仏教の教えを学ぶ場所です。
僧侶は寺で修行することで煩悩を捨て、悟りを開くことを目標にしています。そのための場所だったのですが、仏陀が徐々に神格化されていくとともに、仏塔や仏像、それを収める仏殿などが誕生し、現在のような姿になったといわれています。
そして、お寺で参拝するというのは、死後に極楽浄土に行けることを願うことと、自分の行動をよりよくすることを誓うという意味合いがあります。
まとめ
神様は万物の創造主であったり、自然現象への信仰や畏怖の対象であるのに対し、仏様は悟りを開いたもののことを指します。このように、根本的に神様と仏様はちがうのです。
ですが、日本では神様と仏様は、同一視されていた時代もあり、互いに影響し合っていたため、切っても切れない関係にあり、神社とお寺が似ているのも当然です。現在でも、神仏習合の名残がある場所は各地で見られます。
神様と仏様の違いを知った上で参拝をすると、また新たな発見があるかもしれませんね。
最後までありがとうございました。
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